2025年度佐渡ゼミのご案内です。
佐渡ゼミとは、佐渡島内外の研究者による一般の方向けのセミナーです。生物学を中心とした多分野にわたる最新の研究をわかりやすくご覧いただけます。今年度は、佐渡演習林を調査地として研究を続けておられる他大学の先生方によるご発表となります。佐渡の自然やそれに関わる研究成果に興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
「佐渡島におけるヤマトグサの分布と環境条件の関係」【開催日時】2025年11月27日(木)12:00~12:40【開催形式】Zoom配信によるオンライン開催【参加方法】※下記の問い合わせからお申し込みください【参加費】 無料【発表者】指村 奈穂子 先生(山梨大学大学院 総合研究部 工学域 土木環境工学系 研究助教)【発表概要】 ヤマトグサは日本と中国に隔離分布するアカネ科の多年草で、日本では24府県に記録され、多くの地域で絶滅危惧種に指定されている。本研究では、佐渡島におけるヤマトグサの生育環境と生活史特性を明らかにし、その隔離分布の要因を検討した。 現地調査と気候・地形要因を用いたGIS解析の結果、夏季日照時間が短い谷部に生育が偏ることが示され、霧によって高湿度が保たれる環境が必要であると考えられた。気象観測および室内実験では、生育地で高頻度に霧が観測され、高湿度条件下で節から根を出しシュートを維持することを確認した。交配試験の結果、自殖はあるものの種子繁殖は少なく、個体群維持は主に栄養繁殖に依存していることが示唆された。また、日本全国を対象とした生態ニッチモデリングにより、夏季の日照時間が少なく、上昇霧が発生する海に近い孤立峰で分布確率が高いことが明らかになり、これがヤマトグサの隔離分布の主因であると考えられた。佐渡島はニホンジカの不在により湿潤な林床が保たれており、ヤマトグサの重要な生育地となっている。【お問い合わせ】新潟大学 佐渡自然共生科学センター(担当:蕪木)Tel:0259-78-2613Mail:sadoken2011アットマークgmail.com