演習林長の挨拶

佐渡島は、”日本の植生の縮図”と呼ばれることがあります。海沿いにはシイ・カシなどの照葉樹が生育し、山地帯にはコナラなどの落葉広葉樹が、そして大佐渡山地の上部にはブナやミズナラなど冷温帯の樹木が分布しており、島内で本州のおもな樹木がほぼ見られるからです。また、大佐渡山地の北部にある新潟大学の演習林内には、スギやヒバの天然生林がかなりの面積で残されています。とくに、スギの林には、屋久島の天然スギに次ぐような巨木もみられます。演習林では、こうした多様な樹木や森林をはじめ、離島における動植物の進化や放棄された棚田や里山林の管理など、幅広いテーマについて研究に取り組んでいます。

教育面では、学内の実習とともに、文科省の教育に関する共同利用事業(現在、第3期)として毎年他大学の学生を受け入れて野外実習を行っています。さらに、佐渡自然共生科学センターの里山領域(朱鷺・自然再生学研究施設)と海洋領域(臨海実験所)とは密接に連携しながら、森里海の生態系に関する実習など総合的な教育活動も進めており、将来を担う人材育成に力を入れています。

さて、佐渡島には豊かな自然環境や生態系以外にも、能の舞台や鬼太鼓など多様な伝統芸能や文化が数多く残されています。研究や実習で来演される際は、疲れを癒すためにも、是非そうした部分も味わってもらえるといいです。

演習林長 梶本卓也